◎ 貸倒引当金(個別評価を中心に)



貸倒引当金には、一括評価分と個別評価分による引当てがあります
− 繰入できる法人について、中小法人等に限定されました −




◆ 貸倒引当金として繰入れできる限度額 (法52@A)


貸倒引当金
繰入限度額
一括評価分売掛金等一般債権×法定率(※)OR実績率
 
個別評価分個別評価一括評価対象債権

(※)資本金1億円以下の中小法人等及び個人事業者に限定され 且 法定繰入率で繰入できます。

(注) 大法人の子会社は、中小企業に認められている特例の適用はありません


● <法人の場合> と <個人の場合> 及び <青色申告・白色申告> での違い
 貸 倒 引 当 金
一括評価分個別評価分
中小法人等青色・白色申告共可青色・白色申告共可
個人青色申告事業所得者のみ可不動産所得・事業所得・山林所得
を生ずべき事業を営む者は可
白色申告

  • 工事進行基準の適用により計上した未収金は、貸倒引当金の設定対象可能に
    (法令130)


    ◆ 個別評価による貸倒引当金は?

    (1)個別評価対象債権は、一括評価対象債権から除外して計算
    (2)個別評価による引当金繰入は、「認定申請」 が不要となった
    (3)個別評価は債務者ごとに判定する
    (4)保証金、敷金(預け金)や手付金、前渡金は一括評価の対象債権と
       ならず、個別評価の設定対象 ⇔ <ゴルフ会員権の評価 (→)


    ◆ 個別評価により繰入れできる限度額 (法令96条)


     生じている事実・事由等該当する金銭債権繰入限度額
    Tその金銭債権が次に掲げる事由に基づいてその弁済を猶予され、又は賦払により弁済される場合

    ●次の各種法律等による決定
    (イ)会社更正法等の規定による更生計画認可の決定
    (ロ)和議法等の規定による和議の認可の決定
    (ハ)会社法の規定による特別清算に係る協定の認可・決定
    (ニ)法令の規定によらない関係者間の協議決定
    左記により弁済される金銭債権の額


    (客観的事実あり)
    その事実が生じた事業年度終了の日の翌日から 5年経過後
    に弁済される金額



    (担保権の実行等により取立て又は弁済される見込分を除いた金額)
    U@その金銭債権(Tを除く)に係る債務者につき、債務超過の状態が相当期間継続し、その営む事業に好転の見通しがないこと、

    A災害、経済事情の急変等により多大な損害が生じたことその他の事由が生じていること
    左記の事由により、その一部の金額につき取立て等の見込みがないと認められる金銭債権の額取立て等の見込みがないと認められる金額
    Vその金銭債権(T及びUの適用を受けるものを除く)に係る債務者につき、次に掲げる事由が生じている場合

    ●次の各種法律等による申立
    (イ)会社更正法等の規定による更生計画手続き開始の申立
    (ロ)和議法等の規定による和議開始の申立
    (ハ)破産法の規定による破産の申立
    (ニ)会社法の規定による特別清算開始の申立
    (ホ)手形交換所による取引停止処分
    左記の事由が生じている場合におけるその金銭債権の額


    (客観的事実あり)
    その金銭債権の額の100分の50相当額


    (実質的に債権とみられない部分の金額及び担保権の実行等により取立て等の見込みがあると認められる部分の金額を除く)




    ≪事業に戻る≫  ≪中小企業優遇税制に戻る≫

    ≪債権の貸倒損失に戻る≫  ≪個人決算に戻る≫  ≪法人決算に戻る≫



    上記の内、TとVは法律等に基ずく事由なのでわかり易いですが、Uは事実認定の問題で、また事前の
    「認定申請」が不要になった為、税務調査の際には事実を証する関係書類などの保存が大切になります。




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    tel: 06-6681-2144  税理士 服部行男
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